5月28日に国立能楽堂で行なわれる、日本音響家協会主宰の総会で、マスタリングセミナーの講師を務めさせて頂きます。 http://www.seas.or.jp/2018.5.28.soukai.pdf
その資料を協会側に纏めていただいたので、掲載してみたいと思います。何時もスタジオで使用している機材を中心に、会場ではそれぞれの音の違いを説明しながら、どういう用い方をして音をストラクチャリングしていくかをご説明できればと思っています。日本に入ってきている機材は、Neveとelysiaのみという状況で、これは世界のトレンドを狙った音作りをするには、違った視点・ならびに価値観が必要という啓蒙活動にも繋がってくれればと思っています。 音の作り方というものは、目に見えないものですし、僕がここで再三に渡り主張している、”日本人は音を聴くことが苦手”とする考え方を前提とすると、機材の選び方1つからしても、世界のトレンドから外れてしまっている現実を知って頂く機会にもなるかと思います。少し感じるのは、この”目に見えない”という音の性質に対して、どうしても本来の捉え方を日本全体として出来ないのではないかな・・・と考えています。工学や医学でも、その遅れというものを言われることがありますが、それ以上に音のストラクチャリングの遅れというものは、違いそのものを理論的に組み立た説明もなければ、考え方そのものも存在していないがゆえに、今後更に組み立てて試行錯誤する必要性のあるものだと考えています。 そもそも日本には、『外国の音を真似る』という行為から逸脱できていなく、何時まで経ってもモノマネから出ようとする気配すらありません。本来オリジナルをストラクチャリングするのが市場形成というものでしょうが、その市場形成も短期間で、その上極めて国内のみで考えてしまった音楽市場があるがゆえに、歪んだオリジナルが構成されてしまったようにも思えます。これは、音に関するあらゆる分野に言えることかと思いますが、今後日本ゆえの音楽・音色を構築していくのであれば、先ずは基準となる揺るがない音を誰かが作り上げ、その上にさらなる新世代が登場するという新陳代謝を生み出さなければ、現状からの脱皮はありえません。 このあたりのことを、1時間という限られた時間内で、どこまでお話できるか分かりませんが、少しでも欧米の音作りというものを知って頂く機会になればと思っています。
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